INTRODUCTION

時代の壁を越える、美しき友情の物語

1914年、日本が韓国を併合してから4年後の朝鮮半島。
日本人「浅川巧」と朝鮮人「イ・チョンリム」は、林業技師として荒廃した山々を緑に戻す為に、ともに歩き、ともに語り合い、特別な友情を育んでゆく。
しかしある事件がきっかけで、チョンリムは抗日運動の容疑で投獄されてしまう。
時代が生んだ哀しい運命に抗おうとする浅川巧。果たして二人の行方は・・・。

主演は吉沢悠とペ・スビン。
日刊の実力派俳優の共演が実現!
『火火』『禅 ZEN』の高橋伴明監督が時代の壁を越える友情と人間愛を描く、史実から生まれた感動のヒューマンストーリーがここに誕生!

明日、世界が滅びるとしても、今日、彼らは木を植える

日本が韓国を併合してから4年後の1914年、ひとりの日本人青年が京城にやって来た。朝鮮の山を緑にする使命感を抱いた林業技術者の浅川巧だ。朝鮮総督府の林業試験所に勤め始めた彼は、日本人の多くが朝鮮人を蔑視するなか、朝鮮語を熱心に学び、困っている朝鮮人がいれば積極的に手助けをし、民族を越えた交流を深めていく。彼はまた白磁の壺や碗、膳やタンスをはじめとする朝鮮工芸品の美に魅せられて収集と研究を重ね、民芸運動の祖である柳宗悦に大きな影響を与えた。
浅川巧が40歳で急死したとき、親交のあった哲学者の安倍能成は「かういふ人の喪失が朝鮮の大なる損失であることは無論であるが、私は更に大きくこれを人類の損失だといふに躊躇しない」と記した。素朴で温かみのある、まさに白磁のような人柄の巧が、私利私欲とは無縁に正しい道を歩んだ姿は、その没後80年になる今を生きる私たちの心にも、深く響く。その情熱とロマンは真の勇気と相互理解の貴さを私たちに教えてくれるのだ。

浅川巧の願いを実現させた友情

支配者である日本人が我が物顔で日本の風習や価値基準を押しつけたことにより、朝鮮の人々は独立への機運を高めていった。そんな時代の朝鮮にあって、朝鮮人と朝鮮文化を愛し、朝鮮服に身を包んだ浅川巧。「世界は出来るだけ広くゆつくり住むに限る」を信条とした彼は、偏見や驕りに囚われることなく信じる道をまっすぐに歩いたのだ。
類を見ないほどに真摯で誠実だった浅川巧の半生を克明に描いた『道~白磁の人~』の大きな柱のひとつは、巧と朝鮮人の同僚・チョンリムとの友情だ。朝鮮の山を緑に戻すという使命感で結ばれた2人は、ともに各地の山々を歩き、語り合い、信頼を深めていく。演じた吉沢悠とペ・スビンもまた映画の撮影を通して友情を築きあげた。釣りという共通の趣味を撮影の合間に楽しみ、互いの国の言葉を教え合い、一緒に風呂に入り、役のこと以外にもさまざまなことも語り明かした。そんな彼らを見守った高橋伴明監督は言う。「日韓のスタッフが友好関係を築き、主役の2人が親友になったのが、今回の最大の成果。それこそ巧が望んだことでしょう」

2011年の夏、韓国各地および山梨県での約1か月半にわたる撮影期間で撮影隊を悩ませたのは、韓国を襲った豪雨と長雨だった。オープンセットが撮影直前に流されるなどの困難に直面した日韓混成チームは、むしろそのおかげで結束を強く固めていった。
人間的な魅力に満ちた浅川巧を演じるのは、ドラマ「JIN-仁―」「南極大陸」や映画『夕凪の街 桜の国』『孤高のメス』など、幅広い役を演じる確かな演技力で存在感を発揮する吉沢悠。巧と民族の壁を越えて友情をはぐくむイ・チョンリム役には、ドラマ「朱蒙 チュモン」「華麗なる遺産」「トンイ」などで人気爆発中のペ・スビン。そのほか、酒井若菜、石垣佑磨、塩谷瞬、黒川智花、市川亀治郎、堀部圭亮、田中要次、大杉漣、手塚理美らの強力俳優陣が当時の日本人のさまざまな姿を鮮やかに描き出す。
監督は、『光の雨』『丘を越えて』『禅 ZEN』『BOX 袴田事件 命とは』など、実在の人物や事件をもとに人間と社会の深遠を鋭く見つめ続ける高橋伴明。本作では、植民地時代の日本人と朝鮮人との間に横たわる厚い壁をどちらにもくみすることなく描き出し、浅川巧という人のまぶしいほどの大きさを見事に浮かび上がらせている。
1945年の日本の敗戦は、朝鮮半島の独立であった。36年間の不幸な歴史によって、戦後の日本と韓国は反目しあうこととなったが、2010年には、日本から韓国への旅行者は年間300万人を超え、韓国から日本へも250万人近くに達するようになった。日韓関係は浅川巧が生きた時代と大きく様変わりしたが、その一方で南北に分かれた半島の情勢は予断を許さない。本作の中で「日本人と朝鮮人が分かり合えるなんて見果てぬ夢なのだろうか」と珍しく弱音を吐く巧にチョンリムが言う「夢であったとしても、それに向かって行動することに意味があるのではないですか」という言葉は、浅川巧の映画作りに集った日韓のスタッフが百年の過去から未来につなぐメッセージでもあるのだ。

史実に基づく物語 6月9日(土)新宿バルト9、有楽町スバル座他にて全国ロードショー